インターネットで出会った女の子①
リアルで作る恋人は、何かしら自分に対して先入観を持っていると思う。例えば学校で出会う女の子は日頃の自分の言動を知っているし、職場の女の子だってそうだろう。でもインターネットの相手は違う。何も知らない所から、自分のイメージを作り上げることができる。
大学生になって少しして、オンラインゲームにハマっていた時期があって、バイトから帰っては深夜3時までゲームをする生活をしていた。チームで敵に挑むゲームだったので、チームの人と通話でコミュニケーションを取りながらプレイしていた。
チームの常連は、茨城で飲食業をやっているおっちゃん、新潟の男子大学生、名古屋のフリーターの若い男、京都の釣り好きのおっちゃん、、ぐらいだったかな。
ある日、自分のチームに可愛い声の人が入ってきた。萌声って感じで、それだけで勝手に可愛いんじゃないかと思い込んだ。その日だけで仲良くなり、SNSで個人的に連絡を取り合う事になった。
毎日通話をしていたが、相手の顔を知らなかったし、知ろうともしなかった。知ったら幻想が崩れてしまいそうだし、自分の顔も相手に見せなければならないからだ。誰とも分からない人に顔写真渡す怖さもあるし、ブサイク!なんて言われたら立ち直れないよね。
しかし、日が経つにつれて実際に会ってみたくなった。会う前に顔は知っておかなければならない。どうしても会いたかったし、写真を送りあった。めちゃくちゃ可愛かった。最高だ。向こうも、自分の写真に対して好意的な事を言っていた。良かった。
そこからは毎日ウキウキ。出会いを目的に大学内でセッティングされる飲み会にも行かなくなった。
志村さんの歌声が頭を駆け巡る——————
全力で走れ 全力で走れ 36度5分の体温
上空で光る 上空で光る 星めがけ
全力で走れ 全力で走れ 滑走路用意出来てるぜ
上空で光れ 上空で光れ 遠くまで
Sugar!! / フジファブリック
写真の交換から1ヶ月後、僕らは出会った。
相手は名古屋、こちらは博多。情けないが、お金があまり無いので来てもらった。
大雨の夜7時に博多駅で相手を待っている間、スマッシング・パンプキンズをずっと聴いていた。スマパンを聴くと、身体がフワッとなりワクワクする。
正直、インターネットで出会うなんて恥ずかしかった。でも、今まで普通に女の子とは付き合ってきたし、今回はたまたまだ、とか自分に苦しく言い聞かせて気持ちを持っていた。
愛してたあいつのこと 心から好きだった
でも今は 水色の夕焼けがめに染みる
愛してた正直に 天国に近いハートペピン / Blanky Jet City
続きはまた今度